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映画 『キルスティン・ダンストの大統領に気をつけろ!』

映画 『キルスティン・ダンストの大統領に気をつけろ!』_d0109373_125337.jpg先日、面白い映画にムービープラスで偶然出会いまして。
邦題は なんともはや、なタイトルですが、原題は『Dick』。
ニクソンのことですね。
実は冒頭を見逃してるのですが、面白かったのは後半。
K・ダンスト(ベッツィー)とミッシェル・ウィリアムズ(アーリーン)主演。
15歳のアーリーンと親友のベッツィーは夜中に家を抜け出してファンレター(?)を投函しに行ったところで、偶然ウォーターゲートビルで起きた不法侵入騒ぎに遭遇。もちろんニクソンらが加担した民主党盗聴事件なわけで。
翌日ホワイトハウス見学中を補佐官らが「昨夜のコたちだ!」と騒然。
(と、このあたりから見始めました。)
おまけに官邸内で迷い、賄賂の金やら何台ものシュレッダーで書類処分中を目撃。
しかし、どうもこのふたり、まったくコトの重要性に気づいていないばかりかオツムが少々弱いらしいと解るや、丸め込むためにふたりを大統領の飼い犬が懐いたのを利用し散歩係に任命。
併せてアドバイザーの任も与えるから官邸内で見聞きしたことは極秘だよと言われたのに、有頂天のふたりは、あっさり翌日クラス全員の前で発表。
もちろん一笑に付されるんですが。
そのうちアーリーンは大統領に恋してしまう。
大統領に気持ちを打ち明けるため、秘書のデスク内のテープに切ない気持ちを訴える。
これも、意図的に部分消去されていたと判明する事実のパロディーですね。
巻き戻して録音を確かめようとすると、先に録音されていた執務室内の会話が。
そこには、大統領の差別発言ほか罵詈雑言、飼い犬にまで八つ当たり発言が延々。
百年の恋も冷めちゃったアーリーンが大統領に詰め寄る。
犬好きでもないのに、犬が好きだなんてウソをついて許せない!(そこかい!)
君たちの素性は全て調査済みだと脅す大統領に、ベッツィーが
成績も?(だから~そこかい!?)

乙女心を傷つけられたアーリーンは大統領を懲らしめようとベッツィーと企む。
折りしも盗聴疑惑を書いたポスト紙の記者のことも罵ってたから、その新聞記者にバラしちゃおうと、ワシントンポストのボブ・ウッドワード記者(ウィル・フェレル)にTEL。

さて。ここからがわたくしとしましては最高に面白かった部分です。
事件のパロディーではなく、映画『大統領の陰謀』のパロディーが展開してゆきます。
B・ウッドワードとカール・バーンスタインが傑作。でこぼこコンビ。
やり過ぎず、オトボケ連発なのが良かった。

最初は半信半疑だったけど、ベッツィーが言ったクリープという単語に飛び上がる。
(もちろんまったく違う意味で言ったんだけど、なんて言ったか失念。)
CREEP!?大統領再選委員会の略のCREEPか!?やはり関係していたのか!と。
同じく事件に興味を持っていたバーンスタインがこれを聞きつけ近寄ってくる。
このバーンスタイン役ブルース・マックロックがまた可笑しい。
頭を振っても動かぬ長髪の裾を払ったり、終始無表情の上目遣いで怪しげ。

電話中にちょっかいを出すバーンスタインに言うセリフの字幕もまた傑作。
通話の邪魔をするな。やめろよ。 「すごく痛い。」 (すごくって・・・)
で。名前は?と聞かれベッツィーが思いついた偽名が
ちょうど兄が観に行ったところを父親に見つかって叱られていたポルノ映画のタイトル。
「ディープスロート」 !! 
で、会っちゃうんでうんですねぇ。夜の地下駐車場で。会ってみたら女の子なんで
「何歳だ?」
「23歳よ」
「ふたり合わせてか?」
99年の作品ですから、まだ当時はこの情報提供者がFBI 副長官だったことは判ってないんですよね。
辻褄が合わないながらも、取材と一致する部分もあるんでちょっと信じちゃう。
で、女の子ふたりを付け狙うバンのサイドに書かれているのが「plumber unit」。
コレも大統領支配下の工作員のコードネーム。
他にも、ふたりの記者がJ・ロバーズ演じるブラッドリー主幹が脚をデスクに乗せて原稿を読むという、同じシーンがあったり。
10数えるからこちらの調べた情報が正しくてYESなら電話を切らないでと提案し、
電話を切らないことに小躍りするシーンは、
実は母親が最近コソコソなにしてるのと部屋に来ちゃったので話せなかっただけ。
公立図書館で、膨大な量の貸し出しカードから証拠を探すふたりの記者の気の遠くなるような作業を俯瞰で捕らえ、カメラが高い天井へぐんぐん引いていくシーンは、
女の子ふたりを追って現れた高校の図書室の高くない天井から俯瞰・・・(笑)
しかも、レポートの提出期限が迫ってるんだから邪魔しないで!と女の子に怒られちゃったり・・・
映画では、ふたりの記者がタイプを叩き続け告発取材が続いている、という場面で終わりますが、ここでは逆に喝采で迎えられ喜色満面に編集部内を闊歩する・・・。
とパロディー満載。

サイケ全盛期の女の子ふたりのカラフルファッションや
同様にカラフルなインテリアも雑誌で取り上げられそうな、楽しい映画。

まあとにかく、映画化権を獲得したR・レッドフォードと
獲得出来なかった(と報道されてたと記憶している)D・ホフマンの抑えた演技。
特に、真実を答えているか読み取ろうと相手の目を見つめるD・ホフマンの目。
静かな興奮を呼ぶ演出が印象的な、この映画をリアルタイムで観て
(ポスト編集部内の白い壁に白文字の字幕が重なって泣かされた~)
TV放映も何度も見返すほどの私にとっては、チョー愉快なパロディーでございました。

さて、明日は(もう今日か)いよいよ『ヴェニスの商人』千秋楽。
by august22moon | 2007-09-30 01:27 | 映画 | Comments(0)

出会った本、映画の感想。日々のこと。


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