2008年 11月 13日
ショーン・ペン監督作 『イントゥ・ザ・ワイルド』
全国公開から遅れて、地元でたった4日間(!)の上映なので慌てて行ってきました。
原作を読んだ頃にショーン・ペンによって映画化されると知って、楽しみにしていました。
彼は脚本にも参加しています。
登山家でもあるジャーナリストのジョン・クラカワーの原作は、クリス・マッカンドレスが愛読したジャック・ロンドンやソローの言葉を多く引用し、他の冒険家や放浪経験者の体験談から、彼を荒野へと駆り立てた原因を探ろうとしました。
ショーン・ペンの視点はより深く彼の出自や父親との軋轢にまで及びます。
1990年夏、アトランタの大学を卒業した22歳のクリス・マッカンドレスは、IDカードを切り捨て貯金全額を寄付し愛車の中古のダットサンで旅に出ます。やがてその車も乗り捨て、所持金を焼き捨て、アリゾナからカリフォルニア、サウスダコタへとたった一人で旅を続けます。途中、農場やファストフード店でバイトをしながら。
自由に「その土地の与えるものだけで」生きようと決意した彼が最終的に目指したのはアラスカの荒野。
そして、旅立ってから2年後の8月。
ハンターたちによって遺体となって発見されます。
ショーン・ペンの‘目’はこの青年の旅を見守ろうと心がけているようです。
クリスの大学卒業から旅の終焉までを四章に分け、丹念に創っています。
映画のイントロダクションとして、夢に息子が現れたと涙で目覚める妻を優しく宥める夫という場面で始まります。
以前にはなかった夫婦の心の絆が喪失感から生まれていたのです。
クリスは基本的にヒッチハイクで移動を続けますが、途中でバイトをして日銭を稼ぎます。農場主には心情まで打ち明けるほど心を許し、彼に出した手紙の手書き文字が画面に大きく写されて、「I NOW WALK INTO THE WILD」の INTO THE WILD の部分が活字に変化していき、オープニングタイトルとなります。
クリスがほんとうに好青年に描かれていて、出会った人たちに愛されるのも当然なほど。
ファストフード店でバイト中にも女店員から好意を持って受け入れられたり、
農場主も次の収穫期も働きに来いと信頼を寄せ、
息子を亡くし放浪の旅に出ている夫婦はクリスに亡き息子を思い出し、
一人暮らしの老人は養子にと言い出すほど。
独りで生きようと出た旅で「人々」の愛情を受けてしまうんですね。
原作のクラカワー氏がアウトドア雑誌にクリスの事故を寄稿した後、最後の目撃者でありクリスを車が通るところまで送って長靴を譲った男性はじめ、出会った人々から連絡があり、この人たちへの取材で原作が書かれたことを思うと、残された彼らの無念さ哀しさも考えさせられます。
旅を続ける過程で出会った人たちに忠告されても止められても信念を貫き通すクリス。
彼を演じるエミール・ハーシュは、どんどん少年のように愛らしく見えてきました。
最後はもちろん別人かと見紛うほど痩せ衰えてクリスを演じ切りました。
最後にクリス本人が終の棲家となった廃バスの前で微笑む写真が映し出されます。
(現像されずにカメラに納められたままだったとのこと)
その顔は一瞬E・ハーシュかと見間違えてしまいました。
放浪する夫婦の妻役キャサリン・キーナー(『カポーティ』ハーパー・リー役。当たり前ですが別人の風貌)、両親役のウィリアム・ハート、マーシャ・ゲイ=ハーデンがさすがの巧さ。
上映館を間違えて、ギリギリの入場になってしまいました(汗)
座席数の少ない名画座上映となっていましたが、なんと観客は私ともうひとりの二人だけ!
『レッドクリフ』を観た職場の人からパンフを見せてもらい、配役の話で盛り上がっちゃいました。予告篇で見た限り、孔明と孫権が私のイメージと違う思っていたのですが。その人の感想では「孔明ニヤケ過ぎ」(笑)。白羽扇が白くないのはなぜ?とか、関羽役はモンゴルの俳優さんでこれまたイメージが・・・とか。昼休みにそんな話で盛り上がって、両方見ようと思っていたんです。でもなんだかもう後漢時代まで行く気力がなくなっちゃいました(苦笑)
アラスカの荒野の映像が、廃バスの周りに咲いた花の色が脳裏から離れません。
見て良かったです。待った甲斐がありました。
これは、大画面でみないとですよねえ(溜め息)
さすがはお姉さん、「三国志」お読みになってるのですね。私ったら未読です。先日、父に全巻借りて参りました。来年はなるべくこれまでに読もう読もうと思いつつ読まずじまいだった本を読了しようと決意を固めているところです・・・と、お姉さんに宣言して自分を追い込んでみました^^;
私は10数年前に「三国志」を読んだのですが4ヶ月もかかっちゃった(苦笑)
なんと、劉邦(前漢初代皇帝)と劉備(玄徳)を間違えるという今思い出しても顔が発火する事件を起こしたのが読むきっかけですの(恥) 劉しか合ってないし・・・
感想楽しみにしてるね・・・と、さらに追い込んでみました~♪