2009年 05月 13日
木村泰司著 『名画の言い分』 集英社
『天使は見たことがないから描かない』
前に読んだ「怖い絵」と同じように、名画が伝えようとする真実を解説された西洋美術史本です。
こちらは古代ギリシャ美術から印象派まで幅広い。
読んでいて面白いと思ったのは、口語体で書かれていること。
「『アポロとクマエの巫女のいる海辺』をご覧ください」
「では17世紀の肖像画について見てまいりましょう」
とまるで講演でも聴講しているようです。
でも度々「くれぐれも・・・などと仰いませんように」と
浅学による知ったかぶりや勘違いを諫めている文が気になったんですが
著者氏はヨーロッパ上流階級のマナーや社交術を学んでいらしたそうな。
あら、そうでしたの。
宗教画や神話題材の絵画は雄弁。画面構成の意味、描かれた人物の表情、仕草の意味などを時代背景を中心に詳細に解説されているので興味深く読めました。
天使の階級については特に。
昨今特に人気が高まるフェルメールについて改めてもっと知りたくなりました。
彼についての項が短かったような・・・。
なぜ必ず、左側から光が差しているのかなんて気になっているので
フェルメールだけのことを書いた文献を是非読んでみなくては。
この本には紹介されていませんでしたが、「こんにちは、クールベさん」という作品を学生時代に知って気になってはいたけれど、どんな人物か書かれたものを読んだことがないので、クールベについても。
公開に間に合うようにと『天使と悪魔』を読み始めましたが、まったく進まず。
TVの「不思議発見」でセルンが実存すると知ってビックリ!
所長さんに出演してほしかったーホントはどんな人なんだろ(笑)