カテゴリ:映画( 348 )

本広克行監督作 『亜人』wowow放映

d0109373_0333588.jpgアクションがとてもきれいで、ユニークで、羽住栄一郎か佐藤信介監督作かと思いました。

永井の人体実験は、残虐さがソフトで、不死の絶望感悲壮感が出ていませんでしたが、レイティングの関係かな?

身体の一部から再生できるっていうのは面白い。
これじゃキリがない。無敵。

佐藤の喋り方が、不敵さを押し出しすぎな気がしましたが、アニメ版の声を意識してと後で知りました。それはそれは。偉いなぁ 綾野さんって役に対して真摯で真面目なんですね。

戸崎のボディーガード役の方が、小柄なのにシャツの襟や髪型がむさ苦しくて、せっかくのキレのいいアクションの邪魔をしていて勿体ない。

厚生省への攻撃は原作どおりなんでしょうかね。ん~ちょっとまだ受け入れにくい。

総じてアクション場面に迫力があって面白かったです。

SATの中隊長は監督の御用達なんですな


映画
by august22moon | 2018-09-24 23:00 | 映画 | Comments(0)

オル・パーカー監督作 『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』

d0109373_22161140.jpg気分を立て直そうと思いまして。ちょうどレディースデーでしたので。
平日ですからあまり遅い時間に上映が始まる作品は見られません。
都合よく始まる作品の選択肢は2作品のみ。
4DXの『ザ・プレデター』と今作。で、前作は冒頭10分ほどしか見ていないのに、続編を見てしまいました。
冒頭からアマンダ・セイフライドが招待状を書きながら「Thank You for the Music」をくちずさむだけで終わっちゃったところで、ようやく気付きました。
2作目だから代表曲はフルコーラスでやらないのかも、と。
『アバ/ザ・ムービー』では、ラストにこの歌が流れて、カメラがどんどん引いて空撮になるんですが、海岸沿いの美しく壮大な風景となんと合っていたことか。
なのに、これで終わりかぁとちょっとがっかり。
ABBAの曲を全曲知ってるわけではないので、数曲初めて聴く曲が流れました。

「Dancing Queen」はやはりクライマックス。
タイタニックしてるコリン・ファース見られるとは。貴重。

アマンダ・セイフライドの声は、アグネタほどではないけれど、透明感のある美しい声。
(エマ・ストーンと見分けがつかないこともありましたが、もう覚えたゾ)
意外にメリル・ストリープの声が、アグネタを思わせました。
だってこのモンスター級の名優には、似せて歌うことぐらいお手のものじゃないですか?

シェールの声は重いのですが、やはり巧かった。「Fernando」も彼女に似合っていました。
アマンダ・セイフライドよりピーンパーンと張った表情皺すら無いお肌についつい目が行っちゃいますけど。

「Chiquitita」が聴けなかったのは残念でしたが、幽かに4DXの振動が伝わってくる中、馴染みの曲は思わずくちずさんで楽しめました。
つくづく、ABBAの曲ってヨーロッパの景色が似合うと実感。

改めてまた、アグネタの声で聴きたくなりました。



映画
by august22moon | 2018-09-22 23:00 | 映画 | Comments(0)

原田眞人監督作 『検察側の罪人』

d0109373_22304247.jpg事件や展開は特に複雑でもないのですが、さすが原田作品だけあって、たいへん面白い演出で、見応えがありました。

検察が主役なので、前半は特に彼らのお仕事話が容赦ないマシンガントークで展開されるので、ニノさん視線がいいなあとか木村さんスキのない動作がきれいだなぁなんて見惚れてると、置いてけぼりになります。
なりましたので、もう1回見に行くつもり・・・でした。
公開直後に見に行って2回目を見てからこの感想文をまとめてアップするつもりでほったらかしにしていましたが、だんだんと見に行くか分かんなくなってきちゃったんで・・・


容疑者一覧を、長椅子に座って脇に置いて気付かれぬように見る最上の仕草とその言い訳。

諏訪部が最上の手のひらを見て拳銃の種類を決める。「ロシア娘かイタリア娘」
(使用方法と注意点の説明の滑らかさ。完全に楽しんでる)
スルスルと決められてしまうその間の表情。

1発では絶命しなかった時の最上の狼狽え方。ここは巧かった。
急いで身支度をし、髪を直しながら歩く後ろ姿。
(ここからが勝負、というその後の抜かりなさ。見事)

誘いに乗ってしまって愕然としている沖野の表情。
(さすが、第39回)

舞台出身の役者さんたちのセリフの安定感が耳に心地よかったです。
しかし、緑子さん以外の女性がみんな、クセが凄い~
などが印象に残りました。


インパールを被せる巧みさ。夢の中の「御宿タナン」。その亡霊たち。
なんとしても生き残らなくてはならない最上の心情と重なる「白骨街道」。

彼の決意の固く揺るぎないのがよくわかりました。
まるで実際に戦場体験のある世代のようです。いや、これが最上にとっての戦争だったのでしょう。
神の視点で見下ろすラストシーンには、戦争という地獄を潜り抜けねばならなかった世代の血が宿り続けてしまったのを感じました。



映画
by august22moon | 2018-09-18 23:00 | 映画 | Comments(0)

上田慎一郎監督作 『カメラを止めるな!』

d0109373_23152871.jpg9月に入ってからのレイトショーでしたが、結構お客さんがいて驚きました。

こうゆう作品は見ないだろうしその前に地元には来ないだろうと思っていたものですから、ストーリーを調べてみたんです。
ところが多くの方が、面白いから是非見てほしいと詳細の記述を避けて紹介されている。
それでも拡大公開され始めて少しづつネタバレで書き込まれる方も出て来ました。
8月最終週位かな?なんと地元にもやって来たではありませんか。
レトロでB級感溢れるポスター1枚で、これはないわ~と見る気も起きなかったのに。
見に行ってしまいました。
バラエティー番組の再現ドラマにゲスト出演しているのを偶然見まして、ああこうゆう方ならだいじょぶかな?と思いまして。

ストーリーを知って見ても、とても面白かったです。

俳優さんたちはお一人を除いて無名の方たちばかり。「作品」自体がいかにもインディーズの低予算作品。
なんだか若い方々に人気の小劇団の芝居を見ている感覚。
メイク担当役のしゅはまさんは巧いなと思うくらい。

第二部のこの「作品」を製作する切っ掛けの場面になると、だいぶ雰囲気が落ち着きまして。
先ず、監督役の方の芝居がとてもよかったです。
自分で「質はそこそこ」なんて自嘲する。実績がないからプロデューサーにも平身低頭。
アイドルには「よろしくで~す」と、見下される始末。
ベテラン俳優の身の上話に、きちんと相手をするところなどは、人の好さが表れていました。

そんな父親を娘も軽蔑しているので、父親の作った再現ドラマの放送最中にチャンネル替えちゃう。
奥さん役のしゅはまさんは、そんな冴えない夫を叱咤するでもなく見守っている表情がとても落ち着いていました。
この父娘関係が、軸となっているんですが、その流れがとても良かったです。
「カメラは止めない!」の真の意味は、監督の狂気の演技だけではないことが、全編見終わった後でようやく観客に響いてくる。

そのほかの登場人物の造形もとてもしっかり出来ていて、それがお話に厚みをもたらして、単なる若い人が作るコメディに貶めていませんでした。
カメラマンと助手の関係も。その助手のコの転びっぷりも。
(うっわ~あんな草むらに~とこの作品中1番の恐怖シーンでした)
出演者全員の演技が安定していました。

音楽の使い方にとてもセンスが感じられて、特にクライマックスで、いよいよ組体操のピラミッドが出来上がるってとこでアップテンポの曲が流れ、女性スタッフが崩れ落ちると監督がストップを出し、同時に曲も止まり、芝居がまた繰り返され、曲がまた流れる一連の繰り返しは場内に笑いが起こりました。
ああ、それでこの芝居を繰り返してたのね。

私が思わず吹き出しちゃったのは、お父さんを助けるため撮影に急遽参加した娘が、小道具の生首を監督助手に「投げて!」と言われ投げ渡すんですが、それが強すぎて監督助手が取り損ねたとこ、です。一瞬なんですけどね。一瞬というのがいい。

様々な伏線が回収される第三部ですが、ベテラン俳優の真似して台本の表紙裏に貼った子供の頃の娘を肩車した写真は秀逸でした。
その1枚で、父の想いを知るというのも。
そしてそれがヒントになって最大のピンチを救うのも。
同じ構図になったねと晴れやかな笑顔で差し出すのも。
それを受けての父の照れ笑いも。
その辺りのテンポが速いとこが最高で。しっとりやって、感動作っぽくまとめたら、反ってシラケちゃうとこでした。

生放送をなんとかやり抜こうとスタッフたちが奔走する映画といえば『ラジオの時間』。
主演女優が役の不満から本番中にストーリーを壊していくのにスタッフが翻弄されますが、こちらは個人的事情がよりによって本番中に発生して撮影に支障が出始める。
悪意あるものではないから、他のスタッフがカバーするためひたすら頑張る。
基本的ストーリーは死守している。
そのひたむきな仕事ぶり。そのプロ意識の高さが、感動させるのかもしれないですね。

見てほしいと薦めたくなる気持ちが分かる、面白い経験でした。


映画
by august22moon | 2018-09-12 23:00 | 映画 | Comments(0)

ヨン・サンホ監督作 『新感染 ファイナル・エクスプレス』 wowow放映

d0109373_14392439.jpg少し前の放映で見ました。『トガニ』のほうが見たかったかな
『コーヒープリンス1号店』を1-2回見たことがありますが、大沢たかおさんを甘くしたような風貌ですね。

列車内に乗り込んで来ちゃったゾンビから逃げるって展開。
『ワールド・ウオー・Z』みたいに狂暴of the dead。
最近のゾンビは身体能力高くて脚力が凄い。襲い掛かる時に飛びますもんねぇ

逃げる乗客たちも協力しあってこの危機を乗り越えましょうという気配よりも、生き延びるためのエゴ部分が露呈してしまうとこが印象的。

最後はちょっと、チャンスですよ的に口元に手出しちゃって。遂にパパ感染。
その前に蹴り落とすチャンスあったのに。脚長いんだし。
で、人間の記憶があるうちに自死を選び、娘さん哀れという結末。

最初に列車に乗り込んで来た女性が「ごめんなさい」と呟いているんですが、なにやらかしちゃったかは前日譚のアニメに表されているんですかね。



映画
by august22moon | 2018-09-03 23:00 | 映画 | Comments(0)

ゲイリー・ロス監督作 『オーシャンズ8』

d0109373_2159026.jpgケイト・ブランシェットがむちゃくちゃかっこいい。
低音の声がまたクール。

コメディセンスが好感のサンドラ・ブロックが、彼女らしい役柄です。
くるくる変わる豊かな表情が可愛らしいアン・ハサウェイが意外と感が鋭いってのがいい。
アナ・ウインターの登場場面で、TVでフェデラー戦を見てるってのが傑作。

冒頭の、サンドラ演じるデビーのまったく反省してないのバレバレの芝居からの、手際よくアレコレ盗んじゃう技は、その後のテンポを予想させます。
「じゃ、袋貰える?」は笑えた。

メンバー選びにも挿入されるユーモアが楽しい。
「ハッカーってロシア人しかいないの?」「ロシア人がみんなハッカーなのよ」。
詐欺の経験のないヘレナ・ボナム・カーター演じるデザイナーが、スムースに話を進められないのを窓越しに圧かけてるとこ。
で、アン・ハサウェイがさっきからなに見てんのよっと振り向くとこ。
キッチンカーのシェフに扮装して、閉店の札出してるのにオーダーされて、それ受けちゃうとこ。
ジェームズ・コーエンのお世辞。奇妙な木のオブジェ指して「こんなの2本も持ってるし」。
デビーがハイディに言ってたのはきっと楽屋落ち的なものなんでしょうけど、なんだったのかな。

コメディとしては満点。
とても楽しいのですが、これだけのメンバー揃えたにしては、さまざまご都合主義に進んでしまって、そこが勿体ない。
なにが決め手になってカルティエがオッケーしたの?
カメラの死角っていう問題も、それだけ?って感じ。美術館だからと言われればそうですけど。
『ヴォーグ』誌に潜入するのも。
シェフとして潜り込むのも。
3Dプリンターがあるってのも。
特殊なキーのメカニズムもさらっと解決。
スムースに行きすぎ。
そこが凄腕ってこと?
最後にイエン出しちゃうのは反則じゃないかしら。それできるコいなかったかなぁ
元シリーズのメンバーを出演させるってのはいいアイディアと思いますが。

きっと皆さん楽しく撮影してたんだろうなってことは伝わるし、2-3作作るための登場編とするのなら、まあ許せますけど。

しかし ケイト・ブランシェット△ 
優雅なドレスを着ないのは残念でしたけど。眼福でございました。


映画
by august22moon | 2018-09-03 23:00 | 映画 | Comments(0)

キセキの星で散歩する生存者

d0109373_1272719.jpg兼重淳監督作品
『キセキ ーあの日のソビト-』wowow放映

歯科医で顔を晒さないグループという設定がユニークなのでドラマにし易いのでしょうね。
しかしどこまでが事実なのか存じ上げないせいか、父親との軋轢や学業との両立に悩む姿や、兄のほうはプロとして通用せず挫折して、弟のほうに才能があったというのは、青春譚としては平凡。事実ならドラマチック。

周辺にミューズ的女の子を配するところなど、ふた昔前のグループ結成秘話のドラマを見ているようでした。

菅田さんの歌声が偶然似ていたのか、似せて歌っているのならば、旬の俳優さんの底力を見せられたかんじです。





d0109373_1242854.jpg吉田大八監督作
『美しい星』wowow放映


原作未読ですが、かなり改変されえているようで、でもそこが一家の覚醒なのか大いなる幻覚なのかがなんとなく納得できるお話でした。
孤立感や虚無感から脱却できたかにみえた大杉家のひとたちが、反って孤立を深めてでも内では存在意義を得た充実感をもってしまう。
彼らが向かうのは結局のところどこであったのかと考えさせられました。
肉体の消滅という結末を迎えた重一郎はまだいいけれど、特に暁子や一雄はどうするんだろう。
意義は意義として生きていくんだろうか。

伊余子が、水の販売で溌剌とし始めてから詐欺に気付くまでの演技が、中嶋さん巧くて。
暁子が詐欺に遭うのと合わせて、『クヒオ』の被害女性を思いださせました。哀れですねぇ

佐々木蔵之介さん演じる代議士の無表情の怪しさが、彼こそが地球を危機に陥れんとしている侵略者なのではと思わせました。








d0109373_1413245.jpg黒沢清監督作
『散歩する侵略者』wowow放映


タイトル秀逸。

背の高い俳優さんが多くて、東出さんが登場した時は、あら遂に最高身長現ると思っちゃった。
物語と関係ありませんですね。はい。
愛という概念を奪おうとして奪えないというのが面白い。東出さんのお愛想笑顔もよかった。

宇宙人自身が自分のことを宇宙人と自己紹介したり、誰もどの星から来たのか尋ねないというのも、不思議。

主演俳優さんのいつもの芝居が功を奏して、漂うような動きは、実体のなさをを巧く表されていました。
が、その人それぞれに依存している部分の「概念」が鎖や重しになっているとして、奪われた後の開放という変容が単純すぎてコミカルに映って、侵略の危機感がありませんでした。
愛という概念を奪わせることで真治を取り戻そうとした鳴海の変化も・・・そういうものかなぁ

なにを失ったのかすら分からなくなるという怖さを、もう少し出してくれたら

例えば『密やかな結晶』のように。




d0109373_130182.jpg水田伸生監督作
『252 生存者あり』wowow放映


最近「チコちゃん」に嵌っていまして。
木村祐一さんがどっかで「ぼ~っと生きて」か「ずんだ餅」なんて言ってくれないかなーと期待しながら見ちゃった。

通りかかった妹が『海猿』?と尋ねたので違うと答えたのですが、クライマックスで救急隊に囲まれた状況で一向に降ろす気なくいつまでも隊員を担いだままの伊藤さんの姿が映った場面で、再び現れた妹が「やっぱり海猿じゃん」。





以上。これ見たかったのよー2作と、なんとなく見ちゃった1作、時間泥棒1作、でした。




映画
by august22moon | 2018-08-19 23:00 | 映画 | Comments(0)

ロン・ハワード監督作 『ハン・ソロ / スターウォーズストーリー』

d0109373_23285836.jpg見に行ったのは27日。
夏休みに入っているので。夜とはいえお子さんたちで賑やか。

要は、ハリソン・フォードではない「ソロ」を見て面白いか?ということなんですよね。
似てないなぁなんて、元も子もないことが過ってしまうのは否めません。
イーストウッドジュニアだったらどうだったかなぁ

あの一匹狼は如何にして生まれたかが描かれますが、「ソロ」って苗字の由来がちょっと意外。他人がそれも出入国係員みたいなひとが、適当に付けてた。そうゆう半生だったのね。
やっぱり見どころは、ソロとチューバッカの出会い。
チューバッカの風貌になんとなく物足りなさがあるところへ、弾帯のようなベルトを両肩に掛ける。
意外に操縦技術があってミレニアムファルコンの操縦席に座る。
遂にと思わせるスピンオフならではの楽しさが満載。

新しいドロイドのキャラが女性で、これもなかなか面白いキャラでした。
キーラが敵を武術で倒した時のガッツポーズなんて完全に女性で、傑作キャラ。

若きランドがちょっとチャラいけど。ランドにもいろいろ苦労があったんだなぁと思うことにしました。

最後にダースモール出て来てビックリ。
やっぱり生きてたんだー
ちょっとお顔の輪郭変わってますけど。




映画
by august22moon | 2018-08-07 23:00 | 映画 | Comments(0)

是枝裕和監督作 『万引き家族』

d0109373_20571216.jpg公開直前に実際の事件も重なり、フィクションとして冷静に見ることが難しい作品になりました。

リリー氏も安藤サクラさんも樹木希林さんも見事に巧い。
とにかく「りん」ちゃん役の佐々木みゆちゃんを獲得したことがこの作品を、架空の世界にさせていませんでした。
CMでも、みんなが楽しそうに給食のパンを食べているなかでひとり寂しそうにしている表情が印象的でした。
最後に柵の外を眺めているのは、また来てくれないかいつ来てくれるのか待っているようで、ほんとうに切なくなります。
ただ、記者がじゅりちゃんの母親に「そのオムライスは誰が作ったのか」と敢えて尋ねたことが、喪服くらいしか控えめな服を持っていない若い夫婦の本質が気付かれ始めていると示して、じゅりちゃんの未来に少し希望が持てました。

先にこの家族の実体を知らないで見れば、徐々に判明していく真実に驚いていくところなんですが、既に血縁関係ではないことが分かっているので、では果たしてなんでこの人たちは繋がっているのかを探りながら見ることになります。

子供を連れ去って育てる。
そんな刹那的な生活に埋没してゆく理由みたいなものはただひとつ、じゅりの両親が明らかに育児放棄していると知った時の、憎悪の表情がその答えとなっているようです。

連れ合いの治にしても、憐れむ気持ちだけで行動してしまう。それは幼さといってもいいほどに短絡的。家族ごっこ。父子ごっこだ。
人が育つための様々な必要不可欠をそれまでどうして凌いで来たのか。
せめてもの経済力すらないうえに、働く気もない。
貧しいのに物が溢れて混沌とした室内と合わせて、不安感しか起こりません。

店頭のものはまだ誰のものでもない、店が潰れない程度ならと、野の果実をもぎってくるように万引きで糊口を凌ぐ。
自分たちは持っていないから。豊かなひとたちは無くなっても困らないから。
対価を払わず生きていく。

元々利発だった翔太が、成長するにつけ疑問を持つようになり、疑似家族の脆さに気付いてしまったことが、この「家」の崩壊を招くことになるのも必然。
バスを追って来るのを感じていて振り向かなかったのは、結局は自分をまた置き去りにして逃げた男を断ち切ろうと努めていたようです。
それでもね、「とうちゃん」と声に出さず呟くという演出は圧巻。
「それでもお父さんだったんだよ」ってことですね。

正確には血縁関係ではないけれど赤の他人ともいいきれない、初枝と亜紀。
亜紀はほんとうの祖母のように慕っているけれど、初枝が亡くなった後はどうしていたのか描かれないのが、この関係の希薄さを表しているようでした。
情だけでは済まされなくなったら逃げたのかと感じました。

捨てた者は裁かれず、拾った者が裁かれるのかという信代の抵抗は無謀なだけだけれど。
ひとり遊びする「りん」ちゃんを再び見た時、ニュースになったあの哀れな女の子に思い馳せた時、ただ身勝手と断罪できるのか。
違法だけれど、ふたりの子供の命を救ったのはこの無謀さだったのかもしれない。

考えさせられる作品でした。



映画
by august22moon | 2018-07-21 23:00 | 映画 | Comments(0)

高畑勲監督作 『かぐや姫の物語 姫の犯した罪と罰』日テレ放映

d0109373_2252087.jpg見応えのある作品でした。

ジブリ作品といえば宮崎作品の印象が強いのは興行成績によりますが、こうゆうオリジナリティー溢れる画風は、興行的には厳しくとも、後世に残る芸術作品。
採算度外視でも作品を生み出せるのもジブリなればこそ、なのかも。




たいへん画期的な作風ですが、ボイスキャスト当て描きの顔立ちというのも画期的。
特に田畑智子さん演じる女童。お顔はデフォルメされているとはいえイメージそのまま。
ちょっと「ポニョ」入ってますけど。
発声も幼さに合わせて、見事でした。
立場上必要最低限しか喋らないのですが、常に姫の心身に寄り添い、出過ぎず、周囲にまで気を配るようすに、お付きとしての才覚を備えているのが表されています。
戦おうとする肝の据わったとこも凄いけれど、武器では太刀打ちできないと早々に悟って、情に訴えればと思いつくのも凄いぞ童ちゃん。

姫が裳着の支度する間、後ろに付いているんですが、道具箱を持って右手へはけた女官を目で追ってそちらを向いたままにするという、なんとも細かい演出で活き活きと存在させています。
(その浅黄色の着物の女官に隠れちゃっている画しか見つからなくて残念)
d0109373_2371740.jpg




それにしても、日本のおとぎ話ってファンタジーを超えて完全にSFだと改めて思いました。
浦島太郎にしてもそうですが。
竹取物語は謂わば・・・第五種接近遭遇ってところでしょうか。
ひとの想像力って凄い。


by august22moon | 2018-06-17 23:00 | 映画 | Comments(0)


出会った本、映画の感想。日々のこと。


by august22

プロフィールを見る
通知を受け取る

S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

カテゴリ

全体
はじめまして
おいしいもの
観劇
季節
読書
映画
出来事
音楽
お買い物
テレビ
スポーツ
ラジオ
未分類

以前の記事

2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
more...

フォロー中のブログ

うちの食卓 Non so...
La chambre v...
時の花をかざしに
ビスケットの缶
雨の匂い
お茶の時間
ナムルのしっぽ
貧しきねこのかんづめ
ほんとはいいたかったこと...
ひびのきおく
貧しきねこのかんづめⅡ
ぐうたらチャコの楽しい毎日
おひとりさまの食卓plus
雑貨とカフェ ロバギター
emilog**

エキサイト以外のブログ

最新のコメント

NK様、コメントをありが..
by august22moon at 23:00
初めてコメントさせていた..
by NK at 06:08
お忙しいところ、コメント..
by august22moon at 19:48
> frannyさん ..
by august22moon at 23:24
鍵コメ様 コメントありが..
by august22moon at 00:08
naka様、コメントあり..
by august22moon at 20:27
こんばんは。 先日はロ..
by naka0730 at 21:09
こんばん
by naka0730 at 23:55
cinnamonさん、コ..
by august22moon at 00:28

ファン

ライフログ


るきさん


黄色い本 (アフタヌーンKCデラックス (1488))


棒がいっぽん (Mag comics)


AKIRA(4) (KCデラックス 14)


ポーの一族 II 萩尾望都Perfect Selection 7 (フラワーコミックススペシャル)


半神 (小学館文庫)


百億の昼と千億の夜 (秋田文庫)


天然コケッコー 1 (集英社文庫―コミック版)


半島を出よ (上)


予告された殺人の記録


葬られた夏―追跡下山事件


謀殺 下山事件 (新風舎文庫)


闇からの谺―北朝鮮の内幕〈上〉 (文春文庫)


ゴドーを待ちながら


破獄 (新潮文庫)


白夜を旅する人々 (新潮文庫)


容疑者の夜行列車


幻の光 (新潮文庫)


マイケル・ジョーダン リバウンド (文春文庫)


メキシコの青い空―実況席のサッカー20年


北の人名録 (新潮文庫)


変身 (角川文庫)


こんとあき (日本傑作絵本シリーズ)


とん ことり (こどものとも傑作集)


きょうはなんのひ? (日本傑作絵本シリーズ)


サーカス! (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)


花の妖精たち (アルファベット)


フラワーフェアリーズ  (花の妖精たち 愛蔵版)


賢者のおくりもの


友だちのうちはどこ? [DVD]


ポネット [DVD]


イル・ポスティーノ [DVD]


リトル・ダンサー コレクターズ・エディション [DVD]


ディレクターズカット JFK 特別編集版 [DVD]


ダラスの熱い日 [VHS]


大統領の陰謀 [VHS]


ベニスに死す [DVD]


ヒート プレミアム・エディション [DVD]


裏窓 [DVD]


シックス・センス コレクターズ・エディション [DVD]


バック・トゥ・ザ・フューチャー Part 3 【プレミアム・ベスト・コレクション1800円】 [DVD]


普通の人々 [DVD]


A.I. [DVD]


ジュリア [DVD]


アルゴ [DVD]


セブン・イヤーズ・イン・チベット [Blu-ray]


ER 緊急救命室 I 〈ファースト・シーズン〉 セット1 [DVD]


ゆれる [DVD]


かもめ食堂


スウィングガールズ スペシャル・エディション [DVD]


金融腐蝕列島 呪縛 [DVD]


蜘蛛巣城 [DVD]


すいか DVD-BOX (4枚組)


野ブタ。をプロデュース DVD-BOX


『Q10』DVD-BOX


やっぱり猫が好き(1) [DVD]


The World of GOLDEN EGGS Vol.01 [DVD]


Story of My Life


A Horse With No Name & Other Hits

検索

記事ランキング

ブログジャンル

映画
本・読書