出会った本、映画の感想。日々のこと。

by august22

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d0109373_0571565.jpgアカデミー賞の主演男優賞だけでなく、脚本賞受賞したのも納得できる、心に刻まれる作品でした。

傷ついた者同士がどんなふうに生きていかなくてはならないか。
100人いれば100の涙があり傷がある。悲劇はそれぞれに違って、同じものは無いことを示していました。
主人公のリーは、自分の不注意で幼い子供たちを失っているのに、罪にならず償うこともできない。
警官の銃を奪って自殺しようとしても弾が込められていなかったため、自らを裁くこともできなかった。
この場面が一番印象に残りました。

登場人物たちは最後まで誰一人、過去から立ち直れてなかったし、解決する方法など無いと分かっている。
克服して立ち直って新しい明日へ向かって、なんてうそ寒い展開ではなかった。
乗り越えられないと認める辛さが突き刺さりました。

物語の中で、回想シーンが何度か挿入されるのですが、それが唐突に始まるので、一瞬戸惑うのですが。過去の思い出って、そうゆうふう
に突然甦ってきてしまうものですから、そこはとても現実的で、リーの逃れようにも逃れられない苦しさを感じました。

甥のパトリックと葬儀の帰り途に、うっくり歩きながら、落ちていた野球ボールで遊んだり、君が泊まる部屋を用意しておくよと話したり。船で並んで釣りをしながらちょっと微笑みあったり。
ふたりはきっとそうやって、癒えない傷を抱えながら、日々を送るんでしょうね。
涙と笑顔が交互に訪れるのが人生だから。

昏い目のケイシーアフレックは適役。
時々演技してるように見えないところがまた、よかったです。




映画

by august22moon | 2019-03-18 23:00 | 映画 | Comments(0)
d0109373_0381145.jpg3回目です。

アカデミー賞では作品賞・主演男優賞ノミネートで、再放送やダイジェストまでしっかり見ました。だって、ロジャーがレッドカーペットを歩くなんてもうないかもしれませんもの。ところがオープニングを飾るためかレッドカーペットでのインタビューなし。オープニングライブは素晴らしかったのですが、ちょっと残念。
「ボーイズ」のインタビューはあったけれど、客席ではまったく映らず。
ラミマレックが受賞した時くらい映せばいいのに。どこにいたのかも分からず。
でも編集・録音・音響編集で受賞のたびに、ロジャーと博士が映って。嬉しかったです。
マレック氏が登壇直前にふたりを振り返ったとこが、いいなぁ

このオスカー四冠を受けてか、3月に入って、BS1やwowowで「クイーン祭り」。
特に「The Great Pretender」は見応えがありました。
賞を獲っただけあってインタビューもかなり切り込んだ話が聞けましたしね。
なぜかロジャーとブライアンだけ吹替になっていて、印象を似せていてそこはよかったんですが、どんな言葉で表現したのか(英語堪能なわけじゃないんですが)、肉声で聞きたかったなぁ

wowow放映の「サマソニ」は初めて見たので、4年前とはいえ、今のロジャーの演奏が見られたし。「手をとりあって」が聞けたうえに(でもなぜ、♪ When I’m gone ~ 以降を歌わないのかなぁ)、ロジャーによるロジャーの「These are the days of our lives」も聴けて、堪能。

というわけで、また心に火を灯されまして。
もうお客さんもほとんどいないでしょうしそろそろ歌っちゃえるかな
って期待して今年初めて行ってまいりましたら・・・
お客さん結構いるじゃないですかーなんでー

2回目を見たあとで、フレディの歌声はミックスだと知りました。声が若いし少しマイルドだなとは感じましたが、音源のせいと思っていました。だから俳優さんのリップシングに見えなかったんですね。
曲順はじめ、さまざま事実と違ってますけど、それぞれの曲がそこに登場することに意味がある配列でした。
行ってる映画館がどれほど音響設備が整っているのか分かりませんが、充分満足です。
ライブ会場にいる感覚にしてくれます。
爆音で「Now I’m Here」のドラムを聴ける幸せ。
なんだか、前より音が大きくなってるみたいで、私の中で爆音上映だったと話題に。
近くにお客さんがいなかったので、ちょっと声出して歌っちゃいました。
口元隠しながら。
ファストバージョンの「We Will Rock You」も聞きたいぞっ
特にライブエイドの場面では、ボブゲルドフに内緒でマルチトラックレコーディングを残しておいてくれたエンジニアに感謝、です。

ロジャーの、フレディの個人マネージャーについて真意が図れる言葉も(こここそどんな言葉で表現したか聞きたかったとこ)聞けたので、作品中の仕草も視線も、40年経とうがあの表情にさせるものだったと理解が及びました。

でもね、ロジャーを表現したところで一番傑作なのは、
「紹介するよ、彼女はクリステル」
「シェリルよ」
ほんとっぽいから傑作。

3度目でもまだ、胸がいっぱいになって、帰り途も上の空。電車の遅延中も上の空。
話題作が目白押しだったとはいえ、なぜもっと見に来なかったのなぁ

おとなになって再びクイーンに夢中になれる日が来るなんてね。想像だにしなかったです。
ロジャーがサントスガルヴェを着けている写真があって。こんな美しい腕時計があるんだなぁいつかはと、あこがれたりしてね。(でも後年実際に買ったのは違う、という)
擦り切れるほどレコードを聴いて、穴のあくほど同じ雑誌を何度も見ていた。

アイドルが居た、そんな日々のことも青春と呼べるのなら

そうかもしれない、ですね。



映画
by august22moon | 2019-03-17 23:00 | 映画 | Comments(0)
d0109373_2116125.jpgこれは、イーストウッドが演じたからの妙がありました。

年月を重ねたとはいえ、時に凄みのある視線があるし。
しかし、今作のイーストウッドは、飄々とした怖いもの知らずな振る舞いで、そこがいかにも老人らしい。
売人たち相手に、文字は打てるようになったけど数字が出てこないと、ケータイの扱い方を尋ねたり。言い争いの最中に後ろのほうで呆れたような驚いたような表情で、なんとリップクリーム塗ってたり。
荷物運ぶだけでいいと言われて、ホイホイ受けちゃうなんて、オレオレ詐欺に引っかかるおじいちゃんおばあちゃんじゃないかっ
少しも怪しまず目的地まで行って、報酬額に驚きはすれど、まだ怪しまないし。
ドライブが好きなもんだから、ラジオから流れる曲に合わせて鼻歌まじり。
監視役の男たちまで盗聴器から流れてくる鼻歌につられて歌いだすっていうのが可笑しい。

遂に自分が何に巻き込まれているか知るところになっても、増えていく報酬額に目がくらんでしまう。
For a Few Dollars More ならぬ For a Big Dollars More ってとこ?
その金で失ったものを取り戻していく。
あまりに平然と運び屋を続けていくので、いったいこの老人は事態がほんとうに分かっているのか怪しくなってくるんだけど、幾たびかの危機も巧みに回避するもんだから、これは本人が言っていたように、戦場を潜り抜けて来たひとの持つ度胸なのかしらと混乱してくる。
肝の据わり方が違うってことなのかしら、と。

そんな綱渡りな日々の一方で、捜査はどんどん進展していき、さらに緊張が増していく展開が面白い。
こんなに気ままにやってるのに、緻密な捜査を掻い潜ってる。
ブラッドリークーパーとローレンスフィッシュバーンという、素人じゃとても勝てそうにない鉄壁の布陣なのに。
いやこの老人が実は一枚も二枚も上手なのかもと思わせてしまう。
それはイーストウッドだからなのかもしれない。

ついにモーテルに現れた警察を、カーテンの隙間から覗く目の鋭さには恐怖も震撼も見られない。
精鋭の捜査官をすら欺こうとする決意にも見える。
イーストウッドですから。
「Go ahead, make my day」ですから。

早朝のカフェでベイツ捜査官に遭遇しても、話しかけたりする。
失ったものの大きさに後で気付く無念を吐露していたのは、この男になら捕まっても仕方がないと気付いて、先に自分自身を知っておいてもらおうとしたのかな。
敏腕捜査官ベイツを演じるブラッドリークーパーが、哀しき老人と対照的な、でももしかしたら同じような道を辿るかもしれない背景も見事に表していました。


心血を注いでいたデイリリーも、決して美しく見える花とは思えなくて。
1日しか咲かないという儚さに惹かれていたのかな。
一瞬の、徒花。
図らずも、アールの人生そのままの花だったわけですね。




映画
by august22moon | 2019-03-12 22:47 | 映画 | Comments(0)
d0109373_13183554.jpg公開初日はオスカー獲得で盛況。

いい作品でした。
さまざま批判はあるようですが、こうゆうお話でよかったぁと思うほどに、真実に目を背けていると仰られようと、残酷な人種差別の描写は避けたく、レイティングGでほっとします。
理不尽に歯噛みし、時折クスッとさせて、最後にみんなでメリークリスマス。
気分良く映画館を出られるのもいいじゃない。

ともかくマハーシャラ・アリが美しかった。
『ムーンライト』も見ていないですし、他作品では印象に残ってないので、ほぼ初めてじっくり彼の演技を見ましたが、教養も高く品格もある芸術家を演じてオスカー納得の存在感でした。

まだ差別の激しかった時代。夜間外出は制限され、買い物も拒否され、招かれての演奏なのに会場ですら酷い対応を受けるという理不尽にも、激高することなく常に冷静で毅然としている。その姿が美しい。
その部屋の豪奢さから、すでに地位も名声も獲得してい
るだろうに。よりによって、なぜディープサウスだったのか。
行く必要もなかったのに。
差別を受けると分かって敢えて挑んだのは、芸術家としていつかは闘いに行くべき場所だったんだろうか

運転手として雇われるトニーにもプライベートについて多くは語らないので、後から“ドクター”の秘したい部分が露わになるのですが、その時のマハーシャラ・アリの変化が見事。
あろうことか惨めな姿で知られてしまい、しかも買収で逃れたとあっては、彼のプライドはどれほど傷ついたことか。
トニーの後をついてくる時の、歩き方ったら。
ボロボロの中でなんとか人としてのプライドを絞り出して支えている。その姿に泣けてくる。
挙句、知人ケネディ司法長官に救ってもらわなくてはならない、さらなる屈辱。

この監督の作品は、『愛しのローズマリー』『ふたりにクギづけ』しか見ていませんが、辛く緊張感のある場面の合間にある、ふたりの心温まるやりとりや、クスッと笑わせる場面の挟み方が絶妙。
ラブコメ作品の多い監督ならでは、でしょうか。

フライドチキンの骨を車窓から投げ捨てて気持ちもほぐれさせたところで、ドリンクのカップまで捨てたのを見てシャーリーの表情が瞬時に変わるトコ。傑作。60年代だとてそれはいかんですもんねぇ。
「銃を持ってるのはこっちだ」のオチでクスッとさせて、やっぱりあれは単なる脅しだったのかと思わせ忘れかけたところに、まさかの威嚇発砲! 「持ってたのか!」観客全員そう突っ込んでます。
「つぎはぎの脅迫状書いてるのかと思った」手紙のスペルチェックから文章指導。

トニーという人物は、イタリア移民で粗野な男という設定。黒人への差別意識も当時ではよくある態度という程度な描き方に見えました。
妻ドロレス(リンダ・カーデリーニ。ERのサマンサ タガート!)は、修理に来た黒人作業員にも手作りのレモネードを振る舞って労うほど、差別意識がないひと。
そんな妻の行動を直接咎めることはしないけれど、作業員が使ったグラスを、妻には黙ってやっぱり気になって捨てるという態度にそれは表れていると見えました。
トニーがシャーリーに対して最初からさほどギクシャクしていないし、自身も差別する側であったのに、いつしかそれに怒り抗議するようになるのは、移民であることも関係するでしょうが、妻の影響が多少はあるんじゃないかと。

最初のうちは、こちらの先入観が勝って、ヴィゴ・モーテンセンの知的な部分が垣間見えてしまうんですが、イタリアンの豪快で明るい感じは徐々に見慣れてきました。
ちょっとこのトニーの経済力がよく分からなかったんですよ。
部屋は4人暮らしに狭くはないようだし花を飾る余裕もある、中流家庭。妻はナイトガウンも着てるし、子供の服装もきちんとしている。クリスマスディナーも豪華。
でも賭けで勝った賞金のおかげで家賃が払えるなんて言うし、仕事を失ったトニーは腕時計を質入れする。
ううむ

ラストはクリスマスらしい、救いがありました。
トニーの家で、偶然来訪が被った友人夫妻の後ろに黙って立っているって。どれだけ孤独だったんだろうこの人は。
だから、シャーリーを出迎えたドロレスの、花のような笑顔がこちらまで嬉しくさせる。
しかも、かなり文学的な表現もあながち不釣り合いではなかった女性と分かって。
握手ではなくハグして、夫に聞こえないようにこっそり手紙のお礼まで。ちゃんと気付いてたわけね。
シャーリーの心からの笑顔を引き出した、いいラストでした。
感のいい彼のことだから、トニーがあの翡翠を返さなかったのは妻へのお土産のつもりだったのかもと気付いて、持ってきたかな

シャーリーでもトニーでもなく、このドロレスの笑顔で終わるというのが、この監督のメッセージなんでしょうね。
おかげで夫の差別意識を無くして変えてくれたお礼の笑顔。



見終わった後、もれなくケンタ食べたくなりまして。
しかし物理的に無理でしたので、コンビニへ直行するのでありました。




映画

by august22moon | 2019-03-02 23:00 | 映画 | Comments(0)
d0109373_23162048.jpg 『ロブスター』も『聖なる鹿殺し』も見てないけれどだいじょぶかしらと、迷ったのですが。
アン女王役で主演女優賞にノミネートされたというオリヴィア・コールマンの演技が見たくて行ってみました。
持病に苦しみ疲弊していき、視力も落ち、ストレス発散に過食。召使たちは理不尽にヒステリーの標的とされる。
一目で、腹心にいいように操られて威厳も失われているのが分かる顔。
しかしラストは、逃れられない君主の孤独と女性としての悲運と自分の情けなさを初めて正面から受け止め、そこから歩いていくしかない覚悟が感じられる見事な表情でした。

映像も面白かったです。
宮殿の寝室や接見室などは、美術品が飾られ、絵画が掛けられ、絨毯のような細かい柄の織物が張り巡らされて、重厚というか圧迫感がある。
しかも、超広角レンズやローアングルで部屋全体を映すので、空間の余白が感じられない。
国内経済やフランスとの戦いを話し合っているにも関わらず、閉塞感が出て、女王が外に目を向けられてないのが強調されました。

女王の全てを掌握した幼馴染のサラから、サラを頼ってきた従妹のアビゲイルへと、アンの「お気に入り」が移っていくんですが、政治的にも影の実力者であったサラとは反対に、女王の弱点を突いて近づいていったアビゲイル。彼女は没落貴族であるために貴族に返り咲きたい野望が先行して、結局のところ女王の哀しみに真に寄り添っていたのではなかったことが最後に露呈してしまう。
浮かれて油断が出ちゃったねぇ

今度は自分が排除される番になったのを肌身に感じているエマ・ストーンの虚ろな横顔に、女王陛下の「お気に入り」であり続けたウサギたちが数を増やして被さるラストは、哀れな喜劇の幕切れで、ありました。


映画

by august22moon | 2019-02-24 23:00 | 映画 | Comments(0)
d0109373_22381795.jpg半月ほど前に見ました。

64年版を見ていないんですが、有名な作品ですから、だいたいのストーリーは知っていました。
初めて、明るい表情のエミリー・ブラントを見ました。
ツンとおすましした表情も、とても素敵。
雲間から傘をさしたメリー・ポピンズが舞い降りてくる場面は、ちょっと感動的。
群衆ダンスはとてもダイナミックでスピーディー。現代的な振り付け。

20年後という設定ですが、家族関係や父親の勤務先の銀行とのいざこざなど、前作を踏襲していて、メリー・ポピンズらしい、なんら裏切ることのない流れなんですが。
バンクス家の問題を描いている場面が長い気もして、もっとメリー・ポピンズの魔法が見たかったかな

頭取役のコリン・ファースも、バンクス家に対しては悪役ですけれど、スマートでかっこいい。
ディック・バン・ダイクの元気なのにビックリです。
この作品が64年から引き継がれていることを示すためには不可欠だったと、エンディングのメロディーを聞きながら気づきました。

なんとなく物足りないと感じるのは、あの有名な劇中歌がそのまま聞かれないこと、かなぁ
似た曲が作られていて、それはとても合っているんですけれど。
オリジナルを見ていないから、スクリーンで聞きたかったというのもあります。

なんやかんや言っておりますが、ともかく、新しいメリー・ポピンズが生まれたことは、喜ばしいこと。

世界にファンタジーは必要。


映画
by august22moon | 2019-02-20 23:00 | 映画 | Comments(0)
d0109373_255092.jpgドキドキしましたー。
息が詰まったー

スリラーというのが、解離性同一性障害の演技を俳優さんのテクニック披露にさせていませんでした。

でも、演技は素晴らしかった。乗り替わる瞬間もきっちり演じて、マカヴォイお見事。
無双といっても過言では、ないかも。巧い巧い。
どうもシャマラン作品、オチがイマイチになることが多いのですが、今作は最後まで面白く見られました。
あれだけ至近距離から撃たれても不死身なのは、ビーストだからなわけで。
それはそれで納得ですし。

被害女性のケイシーの背景が、この女性の行動に大きく反映していて、そこがこのスリラーに、より不安感を与えていました。
冒頭、親切に声をかけてくれる友人への反応に、この女性がなにかを隠しているのが見て取れます。
友人の父がトランクに詰めているはずの荷物が散乱しているのをミラーごしに気付いても何も出来ない、まず、すくんでしまう。
でも、ここちょっと反応しなさすぎですけど。

しかし、虐待を受けてきたせいで、パニックにならない。恐怖をやりすごす術を知っている。多重人格の中の誰を利用すればいいか考え、最初に行動したのが、このケイシー。

監禁場所が普通の家屋じゃなく、明らかに地下というのも絶望感を煽っています。
せっかく部屋から脱出できても、なんであんな廊下が長い!?
ロッカーが複数在ったので、ってことは誰か来るんじゃない!?とちょっと安心させるも、場所の特定が付かないので、不安感を煽りました。
信頼している精神科医が女性でしかも高齢なので、もしバリーから狂暴な人格に替わったら対抗できる力はなさそうなので、こちらも不安。
穴も隙もなさそうで不安だらけ。

対抗力を持っていたのがケイシーのケヴィンと同じ子供の頃の虐待体験だったというのは、ラストの決意に満ちた視線も含め、巧などんでん返し。その女性警官に打ち明けるんだ!ケイシー!

つまり。
なぜケヴィンという男性が多重人格になってしまったかという、幼少期の悲劇が描かれないぶん、全編を通して引き込まれたのは、ケイシーという被害女性のほうでした。


映画
by august22moon | 2019-02-18 23:00 | 映画 | Comments(0)
d0109373_23255992.jpgレイトショーで見て、ほぼ同時に終わったドアから、多分満席だったであろう多くのひとが出てきました。入口横のポスターを見てみると・・・「シティーハンター」
そんなに人気なのー


ライアン・ゴズリングが、アームストロング船長とは意外なキャスティングだと思っていたんですが、さすがに途中で過るんですよね。ご本人のお顔が。似てくるんです。

冒頭の海軍訓練機や、船体が崩壊しそうな「1秒に数回」という異常なスピン。
完全に人間の限界を超えている過酷な状況が再現されていて、演じている俳優さんたちの顔も判別できないほど。
今まで見た映像作品では、ここまで強烈な振動では描かれなかったので、事実はこんなだったのかと驚きました。ダメージが酷そう。
これ、4DXでも上映されていましたが、どこまでシートが揺れたんでしょ。こわいー

実直で生真面目だったというアームストロング氏ですが、その性格をかわれて新しいミッションに採用されても、喜ぶでもなく、静かに受け止める。会見ではジョークのひとつも言わない。仲間と楽しく過ごすことはあっても、はしゃぐようなことはない。
思えば、月面でのあの有名な第一声も、いかにもという言葉。
船内でも沈着冷静に行動しているんですが、いざ着陸させる時、振動の中に一瞬、ゴズリングが厳しい射るような目つきをするんですね。絶対に成功させるという強い信念の。軍人の目。
それまでに見なかった、ハッとするような。素晴らしかった。
そしてついに「The Eagle has landed」。

事実も想像の部分も、とても巧く表現されているんですが、ゴズリングが演じると、常に翳を感じるんですね。
圧倒的な孤独を。
それは、幼くして亡くなった娘さんのことが、ずっと残っていると感じられるんです。
感情を表に出さず、堪えてしまう質だから、よけいに。見ていて辛い。
1号の火災で亡くなった仲間の葬儀でも、遊んでいる子供たちの中に娘の姿を見てしまう。

アームストロングが月面でひとり、クレーターに近づいていったというエピソードを効果的に使っています。
困難を極めた国家の大事業である「アポロ計画」の中の、ひとりの人間のドラマとして、強烈に印象づけられました。
泣けちゃった。

遂に到達した月面は荒涼としてなにもない。
視線を巡らすけれど、なぜか脳裏に過るのは、幼い娘と過ごした緑豊かな初夏の景色。
虚空を指さす娘。優しく触れた眠っている娘の髪。
クレーターに近づいて行って、娘カレンのネーム入りのブレスレットを取り出す。
そのブレスは、吹っ切ろうとするようにデスクの引き出しに投げ入れたはずのもの。
それをクレーターの中に落とす。
ゆっくりクレーターに落ちていくブレスレット。
落ちていくわけですから、想像の行為なんですよね。
でもね、これ、ほんとうのことだったらいいな、と思いました。

カレンはお月さまにいて、「持ってきたよ」と声をかけたようです。
だから、最初に視線を巡らせたのは、娘の姿を探してみたんじゃないかと




映画
by august22moon | 2019-02-17 23:00 | 映画 | Comments(0)
d0109373_19323529.jpg吹替版と字幕版を見たんですが。
ベン・ウィショー、声低い。
松坂桃李さんの声は、おやさしい口調で。人間界に居る遠慮みたいものが感じられます。
松坂さんの、ひとの名を呼ぶ声がとても心地いい。
配管を利用して呼ばれて、「ナックルズ」と応えるところなんてとても良かった。

家族として、仲間として、受け入れてもらえていることを感謝していて。それはなんだか不憫になってくるほど。
刑務所に収監されて、ルーシー叔母さんに心配かけまいと、歴史ある建物に引っ越しましたって書くなんて。
誰にでも先入観なく接して。言葉遣いも丁寧で。
なんだかね、「マナーがひとをつくる」って言葉を思い出します。

今の時代、EU離脱問題や移民問題が過ってしまいますが。
文化も習慣も違う者同士が受け入れあって暮らすのは、きっと難しいことじゃないと思わせちゃうのでした。

ヒュー・グラントの弾けっぷりや、シェイクスピア劇の名セリフを諳んじるところなんて、面白かったです。

水中に沈んだパディントンを助けようとして助けられず諦めかけて、お別れとばかりに見つめ合う場面は、なんだか『シェイプ・オブ・ウォーター』。


映画
by august22moon | 2019-01-23 23:00 | 映画 | Comments(0)
d0109373_2291972.jpg 先週のレディースデーに見ました。

第1作は見ましたが、『ハリポタ』シリーズは、どんどんダークになって見なくなってしまったので、ホグワーツが絡んできても、理解できるかしらって観客です。

最近、悪役が続くジョニーデップですが、憎悪に満ちた鋭く冷たい目が圧巻です。
グリンデルバルドの魔法使いたちを洗脳する演説はお見事。
脱走方法もすごーい。どんな呪縛の魔法も叶わないねぇ

ジュード・ロウはエレガントで華があるので、ダンブルドア校長の存在感が感じられるんですが、佇まいなどは一瞬リチャード・ハリスが過りました。

『ハリーポッター』シリーズもそうですが、このファンタジーの形を借りて原作者が込めた信念と哲学を表現するにふさわしい、実力ある俳優さんたちが、より深みのある作品にしています。


ホグワーツの校舎が登場し、あのテーマ曲がさらっと流れると、シリーズ半分も見てない私なんかでも盛り上がります。わくわくどきどきする曲。
コワルスキーにはどう見えてたんでしょ

今回は時間的に都合のよかった吹替版を見ました。
宮野真守さんは一文字一文字に感情が丹念に込められて、聞いていてほんとうに楽しい。
冒頭のニュートの、憂鬱で不安でどぎまぎした感じが巧い。

ジョニー・デップのボイスキャストも平田広明さんですので楽しみでした。
今作では声を低く絞っておどろおどろしさ満点。
ドラマ『ER』の初期の頃のカーターの声を聞いていただくと、その成長ぶりがよく分かるんですよ。巧くなったわぁ

ラストに判明した、クリーデンスとの関係にはびっくりです。
えー!? それってどうなっちゃうのー
あ!? もしかして、知ってたとか?



映画
by august22moon | 2019-01-18 23:00 | 映画 | Comments(0)