カテゴリ:映画( 323 )

デヴィッド・フランケル監督作『素晴らしきかな、人生』wowow放映

d0109373_1302981.jpg 『プラダを着た悪魔』の監督作。

オールスターキャストに惹かれて見始めました。
ウィル・スミス、ヘレン・ミレン、エドワード・ノートン、ケイト・ウィンスレット・・・
これだけの凄いキャストを揃えたわりに物足りないような気もしましたが、クリスマスムービーなので、お祭りみたいなものと捉えれば全て許せるのではないかと。
いい大人(主役級の俳優陣)が、友人を救うために思いついた策が突飛でも、コメディだと捉えればよいのだと。
仕掛けられているハワードが、実は3人のことを信じておらず、分かっていたふうなのも、おとぎ話に貶めていませんでしたし。
伏線もなかなか面白くて。どんでん返しも意外性がありました。

それに、ヘレン・ミレンが演じると、なんだかそれだけでありがたい感じになっちゃって。
彼女は彼女なりに、救おうとしている気持ちが伝わってくるんですよね。
3役とも私が演じてもいいわなんて面白がってるところは、こちらまで楽しくなってきました。
たった3人の演劇チームであることとか玄関ホールに入らずドアの前に立っていた理由などの伏線も、病院で会ってたなんてね、巧いと思っちゃった。
名優の力ということでしょうか。

邦題の酷さは仕方ないにしても、「幸せのオマケ」って意訳にまったく魅力がない。
このキーワードにピッタリ合って胸を打つ慣用句は、日本語では難しいけれど。
「オマケ」じゃ予言が響いてこない。幼い娘を亡くしたばかりの母親にそんなこと言われても。
「禍福之所倚 福禍之所伏」みたいな言葉をちょっとシャレてそして、悲しみに寄り添って贈れれば



映画
by august22moon | 2018-01-13 23:00 | 映画 | Comments(0)

ライアン・ジョンソン監督作 『スターウォーズ 最後のジェダイ』

d0109373_23405093.jpgレディースデーに字幕版を見ようと予定していたんですが、職場の仲良しグループで忘年会になってしまったので、別日に字幕版を見てきました。
オープニングのジャーンって音も、ちょっと吹替版より大きい気がしました。

やっぱりあの冒頭の、手前から奥に解説文が流れていくのは英文で見たほうが、スターウォーズらしい。
ようやくスターウォーズを見た、という気がしました。

ドーナル・グリーソンが登場から、私の知ってる数少ない彼らしいキャラでした。
しかし、ハックスをこうイジるとは・・・意外。

スターウォーズは、選ばれし者の物語ですが、今回は無名の戦士たちが登場するので、まるで『ローグ・ワン』。
戦闘機や戦艦が瞬間移動でシュパッと現れるところもね。
最初の場面でペイジが身を犠牲にしてまでも攻撃しますが、数多くの無名の戦士たちの犠牲があったことを明確に表現するところも、引き継いでいるように感じました。
ローズ大活躍。

ベニチオ・デル・トロの飄々と惚けた得体のしれない感じ、面白い。
時間がない!と急かされての、「へ?」みたいな表情、傑作です。

ルークが感じ取った、レンのダークサイドはどのようなものなのか。
アナキンのように具体的に描かれないので、果たしてほんとうにルークが恐れるほどだったのか
いまひとつ解明されていないような・・・
とりあえず2年後の第三作目を待ちましょうっと

キャリー・フィッシャーは、観客の前にレイア姫として生まれ、レイア姫として去っていったことになります。それは満足のいく女優人生ではなかったかもしれません。
しかし、王族であり将軍であるいう気高さとリーダーシップを併せ持った役柄には、どんな演技技術も追いつけない生来の質が生かされ、まさにはまり役でした。



映画
by august22moon | 2017-12-30 00:39 | 映画 | Comments(0)

D・マイリック他監督作『ブレアウィッチプロジェクト』wowow放映

d0109373_2022288.jpg15日23時放映
99年公開当時かなり話題になった、斬新な撮影方法で話題になった作品。
この映画後、モキュメンタリー手法が出始まりましたが、最初にこれを考えついたのは凄い。
よくぞ撮影者の残した映像だけで通し切りろうと思いましたね。
伝説まで創作して、インタビュー場面もリアリティーがあったし。

夜の放映で音量小さくしていたからかなぁ、三人が聞いた子供の声がよく聞こえなかったんですが、そんなもんでした?
最後もよく分かんない感じで、そこがまた面白いっちゃ面白い
見せない恐怖という手で行ったわけですね。

三人が精神的に追い詰められる過程が巧くて、仲違いし始めるのもそれぞれの言い分も納得いく展開でしたので、同じ橋に架かった木が見えた時の絶望感が伝わってきました。







アダム・ウィンガード監督作『ブレア・ウィッチ』 wowow放映

d0109373_20223599.jpg続きまして放映の続編。
続編があったの知りませんでした。
随分と間があって製作されていますが
作らないほうがよかったですね
第1作だけで終わらせれば、さらにスマートでしたのに。

信じさせるために偽装するとか一番やっちゃいけない
廃屋の中に現れたモノも、宇宙人に見えちゃった
時が経って、互いの連絡手段や撮影機材も最新機器になりドローンまで持参。カメラが超小型で耳に着けるだけになっているのが、こんな状況でカメラ構えるの?って不自然さが消えました。

出演の若い俳優さんたちはどなたもいい顔立ちで、女性陣は美人さん揃いだし男性陣もなかなかのイケメンさんたち。
そのためか、最後まで見られました。



映画
by august22moon | 2017-12-19 23:00 | 映画 | Comments(0)

ライアン・ジョンソン監督作『スター・ウォーズ最後のジェダイ』

d0109373_23385470.jpg金曜夜は職場の忘年会で見に行くのを諦め、土曜日は用事で行けず、日曜の第1回上映回に行きました。
が、これが券売機まで長蛇の列。映画館のある2階から1階入り口まで続いていて唖然。
どうやら妖怪を見る親子さんと被っていたもよう。
30分並んで結局、字幕版には間に合わず、吹替3D版を見ました。
やっぱり字幕版でもう1回見たいな

ファミリー向けだからでしょうかね、音が爆音じゃないですね。
冒頭にシンデレラ城も蒸気船ウィリーも出さない。今作もさすがディズニー、気持ちのいい・・・あ、こうゆうの神対応というんですかね

第1作に続き、観客の求めるもの全てが詰め込まれていて、先の読めない展開も、ちょっと衝撃的なでもやっぱりそうなるかって結果も、期待に違わぬ面白さでした。
このクオリティーで毎年作るって、凄いですね。

とりあえずスノークの脇に従えた赤備えの兵士たちが、かっこよかったです。
d0109373_21263433.jpg




スターウォーズサーガを『新たなる希望』からリアルタイムで見て来ていると、スターウォーズに合った顔というものがあって。
ベニチオ・デル・トロって、私にはまったく「スターウォーズの顔」ではないんですが、なぜかあまり違和感なく。クールで、でもやっぱり危険な感じで。第3作にも出ないかな。
視線もソフト。ファミリー向け(笑)
で、ホルド中将。
あれは馴染まない。中将っぽさないし。せめてすんごいメイクで誰だか分かんなくしてくれれば・・・
サイモン・ペッグは被り物で誰だか分かんなかったのにぃ

エンドロールにはキャリー・フィッシャーへの追悼文。
In loving memory of our princess

やはり胸に迫るものがありました。



映画
by august22moon | 2017-12-18 23:00 | 映画 | Comments(0)

ケネス・ブラナー監督作 『オリエント急行殺人事件』

d0109373_2312222.jpg個性的なキャラクターであるポアロは先に原作と違和感のない造形に馴染んでしまうと、比べてしまいがち。でもケネス・ブラナー版はブートニエールもステッキもなく髪形も口髭も原作とは違っていても、アルバート・フィニー版のような違和感は感じずに見られました。
フィニーは、追い詰めるためにワザと高圧的に喋ると、耳障りな気がしたものですが、ブラナーが捲し立てるとすっかりシェイクスピア劇になって、逆に爽快というね

デビッド・スーシェが独特の拘りぶりを愛すべき質に造形しましたが、そのあたりは冒頭に描かれただけで、それ以降はさらりとキュート。
イギリス紳士っぽさがありました。

なんだかね、ちょっと金田一耕助を思い出していました。
原作に寄せた風貌で当たり役となった俳優さんもいるところへ、まったく風貌の違う俳優さんで演じさせた『八っ墓村』のことを。
真相を解いてみせる語調など、あれはあれで確かに金田一だったなと感じさせました。

原作と変えてあるとはいえシドニー・ルメット版のキャストは完成された印象でした。
イングリッド・バークマン、ローレン・バコール、バネッサ・レッドグレープ、ショーン・コネリー・・・大スターの存在した時代だから出来た作品。
今作ではやはり設定変更はありましたが、ミッシェル・ファイファーがローレン・バコールをリスペクトしたかのように大人のカッコイイ女性を演じていました。
最も意外なキャスティングであったジョニー・デップも顔に傷痕をつけ世界中を睨みつけた目つきもギャングらしくて。
d0109373_1545049.jpg





病的にしか見えないポルーニンと品格の感じられないボイントン演じるアンドレイニ伯爵夫妻以外は違和感も残念感もなく。
(美貌の絶頂期だったジャクリーン・ビセットが息をのむ美しさ。こうゆう伯爵夫人であってほしかったのよ)
d0109373_23232693.jpg



キラ星のような大スターがそこにいるだけで成り立つ作品というものは既にないのですから、狭い車内を活かしたカメラワークや、自然の猛威を迫力あるCG・VFXで描いたり、優雅なだけでなくアクティブな場面もあってよりドラマチックでした。
特に、ラチェット殺害場面がよかった。
儀式のようなルメット版と対照的に、衝撃的でした。
名を変え素性を隠し周到な準備をして、遂に達成するその瞬間の、それぞれの憎しみが爆発して印象的な場面でした。

ポアロが乗客たちに、解明した真相を告げる場面もまた、前作の印象を超える素晴らしいアイデアでした。
トンネル入り口に設えられた横長のテーブルに乗客たちが並んで座るショットはさながら「最後の晩餐」。
ポアロの決断の苦しみもしっかり描かれていました。

先に下車したポアロが見送る車両の窓から乗客たちが見下ろしているラスト。
皆、安堵の笑みも消えて、いずれも硬く寂しげな表情。
復讐を遂げた後の彼らの行く末の暗く厳しいことを暗示させました。
美しい青い列車が葬送列車のようでした。

有名すぎる推理作品に課せられた、いかに結末までを面白く引き付けるかは、なんとかクリアできていたのではないでしょうか。



映画
by august22moon | 2017-12-11 23:00 | 映画 | Comments(0)

ジェームズ・ポンソルト監督作 『ザ・サークル』

d0109373_3284089.jpg見ながら、え?はぁ?の連続でした。

SF小説はじめネット社会の愚かさ恐ろしさを描く作品は多々あります。今作もそれら同様デフォルメされた仮想社会。
父は難病、母はその看護に追われている。なんとかもっと収入のいい仕事で両親を楽にさせたいと願う女性の気持ちはもちろん理解できるんです。
運よく大企業に就職できて、スキルアップもできて、父の病のケアまでしてくれるなんて、メイにしたら信頼してしまうのも道理。
しかし、面接を受けさせてくれた友人の、社内を案内しながらの慌ただしさったら。
始終スマホにメールが入る。返信しながら捲し立てる。世界中を飛び回っているトップ社員なら仕方ないのでしょうけど。面接官も捲し立てる。初日の業務説明も早口。
SNSの評価が社内の評価って、どうゆう意味?
社内中がやたらとハイテンション。福利厚生なんて充実の度を超えてる。
社員全員が疾走感に酔っている。
確かに地上最先端をいってる企業にいれば有頂天にもなるでしょう。
‘あなたにはその価値があるから' みたいな?
もしかしたらこんなハイテンションパラダイスなカイシャが、この世のどこかに存在するかもしれませんけれど。
プライベートまでコントロールされて、まるで宗教。

エマ・ワトソンは、その知的さとともに無垢な雰囲気が、主人公メイに巧く嵌っていました。
知性もあるのに純真すぎて、そこが危うい。
どう考えても24時間プライバシーを晒すなんて、普通の人間なら耐えられることじゃない。
巨大企業の頂点に立てたと思ってしまったか。
その後、失うものの大きさに気付いても、友人のように辞めることもせず、よい部分があるのだと復帰するというのが面白く恐ろしいところですね。
トム・ハンクスは、大衆を虜にするカリスマ性とその裏の強かさが流石の巧さでした。
メイに逆襲された時の、少しも狼狽えず冷笑するところもお見事でした。

俳優陣の巧さで、人間ドラマとしては現実味が出ました。




映画
by august22moon | 2017-12-09 23:00 | 映画 | Comments(0)

新海誠監督作 『君の名は。」wowow放映

d0109373_0563447.jpg大ヒットとなったアニメですが、ちょっと映画館へ見に行く気にならなかったのでありました。

光源に拘った画なんですね。
朝日や真夏の日差しや逆光の反射光ばかりではなく、夜の室内の照明にまで陰影が描かれている拘りよう。

夢の中で異時空間で生きる人物と入れ替わって、しかも相手は天災に遭って亡くなっているのかもしれない。しかも次第にその記憶が薄れていく・・・というあたりまでは、タイムトラベル作品の一種として面白いお話ですね。
タイトルが既に「すれ違い」の代名詞であることも巧みですね。

多くのタイムトラベル作品に存在するのは、時空を超えてしまった本人の意思の及ばないところで。運命に翻弄されるもどかしさが見るものを引き込むわけですね。
どうする術もないところがドラマとして最上なんですね。
日本人にはベースに「浦島太郎」の記憶があるからでしょうかね
(そうそう、信長ってどうしてこうも度々タイムトラベルに巻き込まれるんでしょうね。)

ドラマの『ロングラブレター』のラストに異次元で飛ばされた手紙の紙切れが異次元に舞い落ちてきて、そんな些細な出来事がきっかけとなって過去が変わり・・・という展開は素晴らしかった。
帰ることはできないけれど、変えることはできるという結末。
この後この学生たちが自給自足で生き残ることはどう見ても不可能という絶望的な事態しか起きないところに巧い救いをもたらして、それはそれで面白かったです。

ぼーっと見ていたわけでもないんですが、どうして避難訓練になったのか、分からなくて。
天邪鬼なおばさんなものですから、最後は人知の及ばない悲劇によって若いふたりが引き裂かれる・・・なんていうドラマチックな余韻が欲しくなってしまうのでありました。
「芳山くん」が「深町くん」ともう二度と会えなくなったばかりか、その記憶さえ消されてしまったように。

だって
世界は案外狭いけれど、存外だだっ広くて、無情なのよ





映画
by august22moon | 2017-11-25 23:00 | 映画 | Comments(0)

森義隆監督作 『聖の青春』 wowow放映

d0109373_20342766.jpg大崎氏にあたる橋口役を演じたのが筒井道隆さんだったんですが、私ったら最後まで誰なのか分からなくて。
なぜ分からなかったんだろ。おかしいなぁ
あんなに笑える「ジンジャーエール」が言えるのはこの人だけじゃないかと、つい最近映画版見てて思い出してたとこだったのに。おかしいなぁ

原作本の存在は知っていましたが、作者の大崎氏が将棋雑誌の編集長をされていたことは知りませんでした。
『アジアンタムブルー』しか読んでなくて。
作品中に登場する有名な棋士の名前くらいは知っていましたし、羽生氏のことも七冠達成の時は盛んに報道されたので知ってはいましたが、その程度です。
敗者が「負けました」と宣言しなくてはならない勝負ってあまりないですよね。

将棋のことはルールをはじめほとんど知りませんから、羽生氏が勝ち上がっていく試合が何戦でこれで何冠などのテロップを入れてくださるともっと羽生氏の凄さや村山氏の焦りが、分かりやすかったのに。

主演の松山さんは村山氏に外見を寄せていますが、宿痾の苦しみはあまり細かく表情にも演出にも表現さないのは、ご本人がいかに周囲に気付かせないようにしていたということを示しているのでしょうが、ドラマチックに盛り上げることもなく淡々と静かに描かれているのが、村山氏のみならず将棋という勝負の世界への敬意のように感じました。

ライバルであった羽生氏を演じた東出さんがまた羽生氏そっくりに演じていたので、フィクション部分も、ほんとうにこんなことがあったと受け入れてしまいそうでした。
独特の硬い芝居も功を奏していて、真骨頂なのでは。

最も印象的だったのが、地方の飾り気のない店でふたりがビールを飲みながら語り合う場面。
病気のために結婚ができない無念を吐露された時の、東出さんの表情がよかった。
羽生氏にしてみれば慰めの言葉など憚れるし、女優と結婚したばかりのタイミングで言われて、その話題にも辟易していたのかもしれないところが、ちょっと視線を外した厳しい表情に見て取れて、なんだか羽生氏らしい。
なぜ将棋だったのかと問われても、なぜなのか分からないけれど、ただ今日負けて「私は、死にたいほど悔しい」というセリフも印象に残りました。
「死ぬほど」ではなく「死にたいほど」だと正確に表現するところがまた、彼らしいと思えちゃうんですよね。
村山氏が亡くなって師匠の森氏より先に弔問に訪れた場面は映さず、すでに次の対局の座に居る場面を映しているんですが、その表情には怒りにも似た悲しみや新たに生まれた背負うものへの誓いが見えました。それを弔問の際に見せなかった演出が秀逸。

棋士としても人間的にも対照的なふたりが、道を究めた者だけができる会話をするのも、清々しかったです。

「そこはどんな景色なんでしょうね」

「村山さんとなら行けるかもしれない」

「いつか一緒に行きましょう」

そう言える相手が存在したことが、ふたりにとってはこの上ない幸福だったのでしょうね。




映画
by august22moon | 2017-11-20 23:00 | 映画 | Comments(0)

滝田洋二郎監督作『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』

d0109373_20225556.jpgにのさん大物監督さんが続きます。
「にながわゆきお、くらもとそう、くりんといーすとうっど、そして、やまだようじ」にオスカー監督「たきたようじろう」が加わるわけですね。
「第39回です。」のくだりが好きでして。

さてさて。
二宮さんは確かに巧くて、「拝啓、父上様」でも見せた、調理の時の緊張感ある視線は、役柄への真摯さが感じられました。
メッセージを密かに込めた豚の角煮をひと口食べた後の驚いた表情とそのタイミング。
影膳に出したカツサンドを食べながら、愛する人のために心を込めて作る料理の美味しさを改めて思い出し、旨いなぁと呟くところなどは、さすがの巧さでした。
涙とともにパンを食べたものでなければ・・・ってことですね。

祖父・山形直太朗と同じ「絶対味覚」を受け継いでいた孫・佐々木充が、祖父の知人たちから「遺産」を渡され受け継いでいくわけですが、この「絶対味覚」によって何か事件が起こるのか、事件を解決する手段となるのかと思いましたが、受け継いだ血ということなんですね。

直太朗だけでなく楊らにしてみれば、食という芸術を戦争に利用され奪われたわけで。だから、悲運の料理人の残した遺産を守りぬき繋ぐことが、残された彼らの使命となったんですね。
消えさせてはならないと思わせる、直太朗がそれほどの人物であったことを強く印象付けなくてはならないところですが、西島さんは誠実さ信念の強さで周囲の人びとを魅了し慕われるという役柄は自然に伝わってきますから、そのあたりは納得できるものでした。

最後に、充が再現した料理を微笑んで差し出す。
それはテーブルで待つお客さんではなく、会ったことはない祖父・直太朗へなんですね。
直太朗もそれを分かっているように微笑むようすは、とてもいいラストシーンでした。

青年時代の楊さんを演じた俳優さんがとてもよかったです。
戸惑いながらも文化の違いを柔軟に受け入れていくようすが巧かった。
でも公式サイトにもお名前ないし、エンドロールでも見逃しちゃった。

しかし、押しなべて小綺麗に終わってしまい、なんだかお正月特番を見ているようでした。
オールスターキャストだったからかしら。
もっとなにか出来そうなのに残念。
真相も、充の再生のためにそこまで手の込んだことをしてあげるというのが・・・
健の言い方かなぁ 健に言わせちゃうのが引っかかってるのかなぁ

そんな中でも印象的だったのは、充が再現した味に感動する病床の男が、いい思い出を作ってあげようとする妻に感謝しながらも、最後はおまえの手料理でと言わせた場面。
これは充の気付かないところで起こっていて、それは料理人との境界線であるカウンターの向こうの縮図なのかな
誰かのために心を込めて作ること。ほんとうの「美味しい」の意味。
最後のカツサンドに繋がって、スパイスとなる場面でした。

美味しそうなものいろいろ出てくるんですが、見終わってむちゃくちゃチャーハンが食べたくなりました。
「もういいの」と食べるチャーハンね。
それと、楊さんが作っていた飴掛けのミニトマト。『孤独のグルメ』の台湾出張版でも出てきましたけど、可愛い。
リンゴ飴ならぬトマト飴。
食べてみたいなぁ 連なってるのがいいの。



映画
by august22moon | 2017-11-12 23:00 | 映画 | Comments(0)

ドゥニ・ヴィルヌーブ監督作 『ブレードランナー2049』

d0109373_1820786.jpg予告編で「キングスマン:ゴールデンサークル」
チャニング・テイタムがどこへ向かおうとしているのか分からない・・・


さてさて。続編。たいへん面白かったです!
しかし音が・・・最近そればっかり言ってますが。殴る音も床に叩きつけられる音も。
でも、なんかリアルな感じがしちゃう。
それにまぁ、ブラスターの発射音が凄いですこと。

レイチェルの再現力が凄くてびっくり。あんなこと出来ちゃうんですねぇ、現代の技術は。

前作をスクリーンで見ていないので、あの、アジアともニューヨークとも判然としない混沌とした未来世界がスクリーンで見られたことも楽しかったのですが、ハンス・ジマーの音楽がこの世界観にぴったり。
クラシックやらプレスリーなんて流して安心させながら、不安感や悲壮感を増幅させました。

これは、前作を見直して予習してから見たほうがよかったですね。
蜂の場面なんて、前作にかけた比喩なんでしょうけれど。解釈に迷います。

世界観も見応えがありましたが、主人公K役のライアン・ゴズリングがよかったです。
あのレプリカント特有の無表情の中に、哀しさ虚しさが表れていました。
子供時代がないにも関わらず子供の頃の記憶があるから、もしかしたら人間なんじゃないかと期待させてそれが間違いだった時の、無表情の中に表現される絶望とか落胆が素晴らしかったです。
ホログラムで現れるAIの女の子ジョイ相手にしか心休まることがないんですが、本当に愛しているというよりも、架空だろうが量産型だろうが愛しく思うものがひとつでもあればそれだけで自分の中に存在する人間的なものが確かめられるのを大切にしたかったのではないかと。
唯一のよすがだったんじゃないかとね、思いました。

ラヴとの闘いで瀕死の時に、ジョイが映し出される機械を守ろうと手を伸ばすなんてね。それがたとえ幻だとしても人間らしい記憶で終えたかったのかな
ライアン・ゴズリングの顔立ちがもの悲し気ですから、ただそこに立っているだけで哀愁漂うわけで。ベストキャスティングでした。

レイチェルとの娘に再会させるためにデッカードを必死に助ける。
娘に会いに行くデッカードを見送る。
それは自分だったかもしれないのに。
ゆっくり横たわって降ってくる雪を感じながら、最期を迎え入れる安堵のような自嘲のような表情も、とてもよかったです。
レプリカントとしては幸せな最期だったのかな



映画
by august22moon | 2017-11-06 23:00 | 映画 | Comments(0)


出会った本、映画の感想。日々のこと。


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